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死の外科医と四季姫

第2章 ハートの海賊団との出会い


再び目を閉じていろと言われ、また目を閉じる。何をされているのだろうか、先程よりも長いうえに、時々ビリっとした痛みを感じる。

ようやく目を開けていいと言われた時には、すでに手当てが終わっていた。先程の痛みはどうやら消毒液のようだ。

「本当に、何から何までありがとうございました!」

頭を下げると、医者として当然のことをしたまでだと、ぶっきらぼうな答えが返ってきた。
その様子に彼女はクスリと笑う。

男はそんな彼女を不審そうに眺めていた。
この女は自分の事を知らないのか、と。

「お前…………」

おれの事を知っているか、そう問おうとした。
が、その声は派手に開けられたドアの音と、叫び声にかき消された。

「キャープテーン!!!!」

男が二人とシロクマが一頭、入ってきた事にノエルは驚いた。男二人はまだわかる。しかし、シロクマがいる。二足歩行をしている。

「怪我して……って、キャプテンが女連れて来てるゥゥゥ⁉︎」

「うわ、ほんとだ! 珍しいね、キャプテン」

ドアを開けた男の声に、シロクマが同意する。
ノエルはさらに驚いた。二足歩行で行動するうえ、人語まで話すのか、と。
その瞳はキラキラと輝いており、もう我慢できない! というような顔をしている。

「んー? どうしたの?」

「可愛い! あなたとっても可愛い! クマさんなのに歩くし喋れるなんて!」

診察台から飛び降り、シロクマに抱きついた。
抱きつかれた本人、男二人……いや、三人は驚いている。一頭はノエルを見てどうすればいいのかわからず、困惑気味だ。

おい、と医者の男が声をかけた。うちのクルーに気安く触るなと言われ、ノエルは慌ててシロクマから離れた。

「ご、ごめんなさい勝手な事をして!」

頭を下げるとシロクマは気にしないでと言った。

「おれはトラファルガー・ロー。お前、おれたちの事知らないのか?」

痺れを切らしたようにローと名乗った男が口を開いた。が、ノエルは知らないと言うかのように首を横に振る。

「おれはペンギン! こっちがシャチな!」

「おれはベポだよ、よろしくねー!」

「えと……ノエル、です」

彼女が名乗ると、シャチが堅苦しいから敬語はやめろと言ったため、言葉に甘える事にした。
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