第7章 通じ合った想い
食べ終えても尚、ローはノエルを離そうとしなかった。
歯磨きをする時もホテルを出る時も、船に向かっている時も。
ずっとお姫様抱っこだ。流石にノエルは恥ずかしがっていたが、ローは完全に無視。
おかげで街中でざわざわと騒がれた。しかも。
「あっ! 昨日のお姉ちゃん!」
「……? あっ、アイリーンちゃん」
昨日ノエルを起こしてくれた女の子が、友達と一緒にノエルを見ていた。
「アルのお名前おぼえててくれたの⁉︎ うれしー! ところで、そのお兄ちゃんはだあれ?」
えっと……と言葉に詰まりながらも、お姉ちゃんの大事な人だよ、と答えた。
その顔は、幸せに緩みきっていた。
「お姉ちゃんのコイビトさんかァ!」
きゃっきゃと嬉しそうにはしゃぐ子供達。ローはマセガキ、とボソリと呟いた。
ノエルは敢えて否定せず、少女に声をかけた。
「いつかアイリーンちゃんにも、お姉ちゃんにとっての、このお兄ちゃんみたいな存在が現れるといいね!」
「うん! 愛してるって言える人、ぜーったい見つけるんだ!」
でもその前にね、と少女は明るく笑い
「アル、お姉ちゃんの事愛してるよ! また遊びに来てね!! 待ってるから!」
「ッ、うん……!」
若干泣きそうになりながらも、少女と約束を交わしたノエル。
ローが海賊王になるのを見届けてから、また世界を一周してここに来よう。そう思った。
別れ際に少女の友達が
「お姉ちゃんお姫様みたいでとってもステキ!」
なんて言うので、恥ずかしさからローに下ろしてと言うも、やはり聞いてはもらえない。
どの道動けないので諦め、ローと楽しく話しながら船に戻ると、何やら船が騒がしかった。
「敵かなァ?」
「いや、あれは違うな……」
何だ何だと近寄ってみれば、船員達に囲まれている一匹のネコ。
ノエルはそのネコに見覚えがあった。
「あっ! 昨日のネコちゃん!」
「ミー!!」
ネコはノエルの姿を見つけると、飛びついてきた。
「よしよし、あの後ここに来たの?」
「ニー!」
ネコはまるでノエルの言葉がわかるかのように返事をする。
「あっ、キャプテン!! ノエル!!」