第7章 通じ合った想い
わらわらと船員達が集まってくる。ローに抱かれるノエルを見て、シャチが余計な事を言おうとし、イッカクとペンギンにボッコボコにされていた。
「ここのログは半日で溜まるらしく、出航準備はもう出来ています。次の島に行くのに時間がかなりかかりそうですが」
ペンギンがそう伝えると、そうか、と答えるロー。その視線はネコに釘付けだ。……正確には、ネコを抱っこするノエルに釘付けだ。
「飼うか?」
「エッ、いいの⁉︎」
「お前に懐いてるみてェだし、いいんじゃないのか」
「よし、じゃあ今日から君は私の飼い猫だァ!」
ニー!! と嬉しそうに返事をするネコ。
あ、とノエルは思い出したように
「そういえば君、名前ある?」
ふるふると首を横に振った。やはり言葉が理解できる賢いネコのようだ。
意思疎通が出来て嬉しいなー、とノエルは呑気に考えているが。
「じゃあねェ…………今日から君はヴィルセンだァー!!」
にゃう!! と元気よく返事をするネコ……もといヴィルセン。
「ヴィルセンって言いづらくね? いいのか?」
「いいのー! ね、ヴィル?」
「ニャー!!」
ノエルの腕の中で可愛く鳴くヴィルセンに、すでに船員はメロメロだ。
「さて、お前ら出航するぞ。あと、ノエルには手ェ出すなよ。おれのだ」
その言葉に、やっとか、と息を吐く船員達。イッカクは目をキラキラとさせている。
「ノエルちゃん、おめでとう!!」
「ありがとう、イッカクちゃん!!」
ノエルの恋を見守ってきた親友として、これほど嬉しい事はない。そう、イッカクは思う。
「今夜話聞かせてよね〜?」
「もちろん!!」
お互いに手を伸ばし、繋ぐ。ギュッ、と握られ、ノエルの嬉しさが倍増した。
船員達が全員船に乗り込み
「出航だァ!!」
ポーラータング号は大海原へと向かい始めた。
「にー!」
新たな小さい仲間を引き入れて。