第7章 通じ合った想い
ズルリと自身を引き抜くと、蜜壺から白濁とした自分の欲望が溢れてきた。
初めての彼女には少し酷だったかもしれない。
それでも「いや」とは一言も言わず、最後まで付き合ってくれた。
能力を使い、ノエルのナカに放った欲望を掻き出す。
その量が、どれだけ行為が激しかったかを物語っている。
すやすやと眠っているノエルの身体を抱き上げ、バスルームへ向かう。
ローもノエルも、蜜やら白濁やら汗やらでベタベタだった。
バスルームで、シャワーのコックをひねる。温かいお湯が二人にかかる。なるべく起こさないように、綺麗に洗ってやる。
終わってバスタオルを巻いてやり、丁寧に髪を拭く。
亜麻色のふわふわの髪。出会った時より少し伸びた気がする。
(本当に…………いい匂いがするよな)
同じホテルのアメニティを使っているはずなのに、彼女は甘い香りがする。
一体何の香りなのだろうか。検討もつかない。
聞いたら、教えてくれるだろうか。
首筋に顔を埋め、すんすんと匂いを嗅ぐ。
いつまでも嗅いでいたい衝動に駆られた。
服を着せるのはもったいない気がして、タオルのままベッドに寝かせた。自分も、タオル一枚だ。
隣に寝転び、閉じ込めるように抱きしめると、無意識に抱きしめ返してくれるノエルに心がきゅっとなった。
(あァ…………本当に、愛しくて堪らねェ)
そう思えるのも、こうしてノエルに出会えたのも全て、たった一人の大恩人のおかげだ。
(コラさん……おれに、心をくれてありがとう)
いつかノエルに、コラさんの話をしてもいいだろうか。
(全て受け入れてくれる。ノエルなら、きっと)
そう思いながら目を閉じると、すぐに眠りに誘われた。
「よかったな!」
いつもの笑みを浮かべたコラさんが見えた気がした。
部屋にはローとノエルの寝息が静かに響いている。
月はもうだいぶ高い所にあり、窓から差し込んだ光が二人を優しく照らしていた。
一瞬見えたコラさん───ドンキホーテ・ロシナンテ───は、月明かりが見せた幻か。
二人を優しい眼差しで見つめ、何処からか吹いてきた風に、儚く消えていった。
「幸せにな、二人とも」
その呟きを聴く者は、誰もいなかった。
それでも彼はそう呟かずにはいられなかった。