第6章 気持ちの整理
ザアアアアア、とバスルームにシャワーの音が響く。体を念入りに洗い、お湯に浸かり、逆上せる寸前まで温まった。
半ば混乱気味になりながらも頭を洗い、早めに脱衣所に出た。
体を拭きながら、
(これ……さっきローから香った匂いと同じ…………って、当たり前か。同じホテルのアメニティなんだし……)
などと思っていた。バスローブを着ようとして、ない事に気が付いた。
実はローが隠してしまったのだが、ノエルはそれを知らない。
今頃ベッドの上でローはニヤニヤしている頃だろう。
「な、何で…………⁉︎」
そう。バスローブがないということは、タオルを巻いてローの所へ行かなければならないのだ。
5分ほど髪を拭きながら考えていたが、他にどうする事もできないため、腹を括った。
「お待たせしました…………」
なるべく胸のところを手で押さえ、タオルが落ちないようにする。
ベッドにはニヤニヤしたローが片膝を立て座っていた。
何故そんな顔をしているのか、ノエルは分かっていない。
堪えきれずに笑みが漏れた。
「フッ」
「ちょっ、何で笑ってるの⁉︎」
「バスローブが無かっただろ? あれはおれの仕業だ」
悪びれもなく答えるローに絶句するノエル。
「じゃあ、ローが持ってるんでしょ? ちょうだい?」
「断る」
「なんっ、きゃあ⁉︎」
ぐいっとノエルの腕を引っ張り、ベッドに組み敷く。
ノエルを見下ろすローの髪から雫が落ち、彼女の首を流れていった。
「あの……ロー?」
「今更待ったはなしだぞ」
「う……」
バレてる、とノエルは内心苦笑した。
が、この状況では足掻きたくもなる。
相手はバスローブ。対してこちらはタオル一枚のみ。
これなら服を着ていた方がまだマシだと言える。
「お前の要望を受け入れて、随分待ってやったんだ。これ以上おあずけだなんて言われても、待っていられる自信はねェよ」
ぺろりとノエルの耳を舐めるロー。舐めるだけでは飽き足らず、時折歯を立て甘噛みする。
「んっ…………アッ! ふあっ、あ、ろぉ……」
身をよじって快感から逃げようとするも、ローの手がそれを許さない。
頭を固定し、さらに耳を攻める。
ちゅる、くちゅっ、ぢゅうっ、と攻められる度に音が聞こえる。