第6章 気持ちの整理
ローはこの島で一番高いであろうホテルの、一番高い部屋をとった。
部屋に入ってノエルをベッドにそっと寝かせるまで、ずっと抱き上げていたし、ずっと無言だった。
「ロー……?」
今朝と同じ状況。ベッドに押し倒されている。
それだけで、ノエルの顔は真っ赤になった。
「さっきのはどういう意味での【好き】だ?」
「さっきって………あ」
先程気持ちを自覚したばかりなのに、助けに来てくれたローに感極まって告白紛いな事をしてしまった事を思い出した。
真っ赤だった顔がさらに真っ赤になる。恥ずかしすぎて目を背けたくはなったが、ここで逃げてはダメだと、意を決してローを見つめた。
「その……恋、とか……した事ないからわかんないけど、ローになら何されてもいいって思うし…………シャチとかペンギンとかとはまた違う、好き。私、ローの恋人になりたい」
どうしてこうも彼女はこんなに可愛らしい言い回しをするのだろうか。もはやローの理性は限界寸前だった。
「おれも同じだ。お前に惚れてる」
ローも、しっかりとノエルの瞳を見つめ思いを告げた。
アメジストの瞳が、嬉しさで潤む。
「ロー……」
「ノエル……」
彼女が彼の名前を呼び、彼も彼女の名前を呼ぶ。
それだけで全身の血が沸騰するかのような感覚に襲われた。
引き寄せられるように、二人の顔が近づき、やがて……唇が重なった。
初めてのキスの感覚に体を強張らせるノエルを安心させようと、ローは彼女の手を握った。
触れるだけの、短いキス。それでも、二人には一瞬にも永遠にも感じられた。
「ふふっ」
やがて、ノエルがくすくすと笑い始めた。何事かと、ローの目が訴えている。
「初めてのキ…………ちゅーも、二回目のちゅーも、全部ローにもってかれちゃったね」
キス、と恥ずかしがって言えない彼女は、ちゅーと言った。
その言い回しは、ローの中の獣を煽る材料に過ぎなかった。
「煽ったのは、お前だからな」
「え?」
「今から、お前を抱く。全部おれに寄越せ」
かああああ、とノエルは自分の頬に熱が集まるの自覚した。
「あの……それはいいけど、待って」
服を脱がせようとしているローの手に、自身の手を重ね、ストップをかける。
ローは思ってもみなかった展開に驚いた。