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死の外科医と四季姫

第6章 気持ちの整理


そして

「───も、ノエルの特別な人だから、愛してる!」

「! おれも愛してる!!」

「へへ、愛してるって、嬉しいね!」

「だろ⁉︎」

青年は嬉しそうにノエルを抱きしめた。
二人は、日が暮れるまでそこで遊んでいた。

────────────────────

(そうだ、愛してる、は特別で、大切な人に伝える魔法の言葉。あの人は今何処で何をしてるんだろう。ねェ───、私は今でも愛してるよ)

ふと我に返ったノエルは、ベンチに横になろうとした。が、背中に当たるのは硬いベンチの感触ではなく、何やらふわっとしていて、むにっとしていて……暖かい何か。

「何ッ⁉︎」

驚いて起き上がり、振り返って見たのは、驚きで目をまん丸にしている黒猫だった。
黒猫はノエルと目が合うと、睨みつけるように目を細めた。

「ご、ごめんねネコちゃん!」

許して、と撫でようとすると威嚇してきたが、気にせず撫でる。ノエルに害がないとわかったのだろうか、黒猫はゴロゴロと喉を鳴らしながら擦り寄ってきた。

「おいで」

両手を広げてやると、ぴょいと膝の上に飛び乗ってきた。背中を撫でてやると、気持ちよさそうにウトウトし始める。

眠ってしまった黒猫を胸に抱え、自身もベンチに横になる。
睡魔に負け、ノエルはいつの間にか眠ってしまっていた。

それを見たシャチ達は、微笑みを浮かべながら船に戻っていった。

******************

「…………て、起きて、お姉ちゃん」

子供特有の少し高めの声でノエルの目が覚めた。体を起こそうとし、先程の黒猫がまだ乗っている事に気が付き、抱えるように支え起き上がった。辺りはもうオレンジ色に染まっている。

だいぶ眠っていたようだ。そして今ノエルを起こした母娘もだいぶ遊んでいたようだ。

「あ、お姉ちゃん起きた! おはよう!」

「おはようございます……?」

まだ少しぼんやりとしている頭ではあったが、少女の母に会釈をした。ふんわりと笑いながら会釈を返してくれた。

「お姉ちゃん、このニャンコの飼い主さんなの?」

「ううん、この子とは今日会ったばっかりよ。起こしてくれてありがとう」

どーいたしまして! とニパッと笑う少女につられ、ノエルも笑顔になった。


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