第5章 自覚と戸惑い
「ッチ!」
イラついたように舌打ちし、ノエルを引き剥がす。が、耳が赤いため、どうやら照れているらしい。
「飲み過ぎだ」
ノエルからジョッキを奪い、ヒョイっと抱き上げる。あまりにも軽々と持ち上げられた彼女は、少しばかり驚いている。しかし抵抗しないあたり、相当酔いが回っているのだろう。
「お前ら、ほどほどにしておけよ。おれ達は先に休む」
アイアイキャプテン! と、威勢の良い返事が聞こえてくるが、おそらく彼らは今のローの言葉を覚えてはいない。明日には全員仲良く二日酔いだ。それがわかっているローはノエルを抱えたまま、甲板を後にし部屋に戻る。
部屋に入るなり、ノエルを優しくベッドに寝かせる。しかし、自分は荒々しく彼女に馬乗りになった。ようやくノエルは自分の状況を理解した。
「あ…………」
酔いとはまた違った赤みがさす頬。動揺している隙にノエルの手を頭上で一纏めにするロー。片手で抑え、もう片方の手は彼女の頬をするりと撫でる。
「ろぉ……?」
「散々人の事避けておいて……煽ってくれるじゃねェか」
頬を撫でていた指が、耳元へと移動した。ツゥ、となぞるように撫でるとノエルから甘い声が聞こえてくる。
「フッ…………イイ声出せよ?」
「ふえ? んっ!」
ノエルの服がチューブトップなのをいいことに、ローは彼女の鎖骨をペロリと舐めた。そのまま首筋を舐め上げ、やがて耳元まで到達した。
当然、ノエルの体はピクピクと反応している。ニヒルに笑ったローは、彼女の耳にキスをした。ちゅっ、とリップ音を立てながら離れる唇。息を飲む音が微かに聞こえた。
「強情だな」
キスをしただけでは飽き足らず、耳の裏を思い切り舐める。
「んっ、んあっ、アッ……」
舐めるだけではなく、時々甘噛みし、ちゅう、と音を立てて吸う。ちゅる、くちゅ、とローが耳を舐める度、水音が部屋に響く。口を塞ぎたくても、ローに両手を纏められている。塞ぐことのできない口から、勝手に声が漏れ出る。
「耳、弱ェのか」
「ひあっ……!!」
耳元で囁かれ、イヤイヤをするように首を振るも、どうしようもなく声が漏れる。恥ずかしさから目に涙が滲んだ。
「ふうっ、ン」
その涙すら舐め取られ、ノエルはすでにキャパオーバーだ。