第4章 芽生えた気持ち
食料も調達し、ノエルの生活に必要な物全て購入し、シャチとペンギンも落ち着いた。なので夜ではあるが、ポーラータング号は四季島へ向けて出発した。
「んー、2時の方向かな。真っ直ぐで!」
「アイアーイ!」
ノエルの指示で船は進んでいく。このまま真っ直ぐ行けばいずれ到着できるよ。そう言うノエルに安心するも、ベポはログポースもないためやはり少し不安ではある。
「んー…………ちょっとズレたね。1時の方向に戻って〜」
「ア、アイアイ!」
こうして四六時中ノエルについていてもらわなければならないのだ。いくら船の操縦士が変わろうと、ノエルだけは休めない。
「ノエル、休まなくて平気?」
「うん、全然平気だよ!」
そう言っていたノエルだったが、やはり数日続くと疲れの色が見えてきた。
「ノエルちゃん、休んだ方がいいよ。顔色悪いし」
「うーん…………でも昨日ちょっと休んだだけで船はすぐに目的方向からズレちゃったから……」
休みたい気持ちはあるが、四季島へ辿り着けねば意味がない。しばらく考えたノエルは
「よし、ある程度水に連れて行ってもらおうか」
と、少しフラつきながらも立ち上がり
「水の王(オー・ロワ)」
腕を目線の高さまで上げると、海流が変わった。まるで、船を先導するかのように動き始める。驚いたペンギンがノエルを見た頃には、彼女は倒れる寸前だった。
「キャプテン!」
「ったく、少しは休めよ」
倒れるギリギリのところで、ローがノエルを支えた。背もたれ付きの椅子に座らせ、さらにブランケットをかけてやる。そして、窓の外の海流へ目を向けた。
「これが、世界政府も欲しがるシキシキの実の能力、か…………」
さらに海流は船の速度を上げていた。四季島へ早く辿り着きたいノエルの意思を表すかのように。
数時間後、ノエルは目を覚ました。顔色は先程よりもだいぶよくなっている。そして、船を浮上させる指示を出した。浮上した先に見えたのは、四季島と思わしき島の影。
(やっと、帰ってこれた……)
甲板から四季島を眺めるノエルは、やがて近づくその光景に目を見張った。
美しかった島は、もはや更地の島となり、未だ燃えていたのだ。