第4章 芽生えた気持ち
再び甘い声が聞こえてくる。今度こそノエルを見ていた男達は立ち去っていった。
「ろっ、ロー⁉︎ 何して!」
「生クリームが付いてた」
最初こそ真っ赤になっていたが、そう言うと納得したようにイチゴサンドを頬張るノエル。言ってからやってよ〜と言う。そんな彼女にローは
(言ってからやれば問題ねェのかよ……)
と思った。昼食も終わり、また街をフラフラと歩く。途中、アクセサリー屋の前でローが止まり、ノエルも同じように店内を見る。
中は女性物のアクセサリーばかりで、男性物は見る限りではない。のにも関わらず、ローはドアを開け店内に入っていく。
(ローどうしたんだろ。誰かにプレゼントでもするのかな…………)
ローについていくと、彼はピアスコーナーを見ていた。花がついた物もあれば、宝石のような物がついている物もある。ただ輪っかになっているシンプルなデザインの物も多く、ノエルは少しワクワクしていた。
「お前は…………」
少し言いにくそうにローが口を開くノエルは、ローの方を見る。ローの目は今まで見た中で一番真剣な顔をしていた。それにノエルはドキリとしたが、すぐにピアスの方を見て意識を逸らしてしまう。
「お前はどんなデザインのが好きだ? それか?」
それ、とはノエルが今見ていたピアス。花と宝石のような物がついた、少し大きめの派手な物。ノエルはただ見てただけと言い、私なら〜と、シンプルなデザインが多く並ぶ棚を見つめる。
「これ、かな?」
やがてノエルが手に取ったのは、雫のような形をしたリングのピアス。至ってシンプルなデザインの物だった。
「えらくシンプルだな」
ノエルの手からピアスを持ち上げ、彼女の耳に充てる。ローは一瞬フッと柔らかい表情になった。その表情にノエルがドキドキしていると、そのまま会計に向かった。
(買ってくれるんだ…………。大切にしよう)
買ってすぐさまノエルにつけたロー。似合っている、と呟きノエルの手を取りまた街へと歩き出した。
「ロー、ありがとう!」
「ああ」
一部始終を見ていたアクセサリー屋の店員は
(っはー⁉︎ あれ絶対くっついてないでしょ! 早くくっついちゃえばいいのに!)
女の勘とは恐ろしいものだ。