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死の外科医と四季姫

第4章 芽生えた気持ち


「さて、まずは何が欲しい?」

「下ろして欲しいかな〜」

「わかった、家具から買おうか!」

「話聞いて⁉︎」

このやりとりの最中、シャチはずっと爆笑している。それも、腹を抱えるほど。

「ねえシャチ…………どうしてペンギンこんなになってるの?」

「ノエルが可愛いからじゃん? 俺らより年下だし、守ってあげたい妹みたいなんだよな。なんかこう…………俺らも妹できたって感じがして、嬉しいんだよ」

「そう…………」

何故か歯痒くなって、ペンギンの首元に顔を埋めた。自分はこんなにも、ハートの海賊団のみんなに愛されていたのか。帽子の一部がふわふわとノエルの顔を擽り、さらに歯痒くなった。

「ペンギン、シャチ。ありがとう」

顔は見せないが、彼女なりの照れ隠しを見た義兄二人はそれはそれは悶えていた。通行人は同情するようにノエルを見たり、不審者でも見たかのような顔をして、そそくさと通り過ぎていく。

「とりあえずペンギン、下ろして?」

「…………どうしても?」

「どうしてもなの。やっぱり自分で使う家具くらい、自分で見たいし」

その言葉を聞き渋々ノエルを下ろすペンギン。代わりに手を繋いだ。嬉しそうにパアッと笑顔になるペンギン。羨ましそうな顔のシャチとも繋ぐ。最早仲のいい兄妹にしか見えない。

「まずはサッと買えるものから見たいかな。服と家具は後回しにして、シャンプーとかの小物から見たい〜」

よしきた! と意気揚々と彼女を引っ張っていくシャチとペンギン。小物を選び、ゆっくりと家具を選んだ。部屋があるとはいえ、イッカクと同室。邪魔にならない程度で、かつ必要な物を選んでいく。

ノエルが選ぶのはピンクと白基調の女の子らしいデザインだった。先程買った小物とも色が合っている。

「やっぱり女の子だな〜。家具は店の人が運んでくれるらしいし、ゆっくり服見よっか」

「うん!」

シャチの両手にはすでに大量の荷物があり、ペンギンの手にも少なからずある。しかし難なく運んでみせる彼らは、流石鍛えているだけあると言える。

「この服可愛い…………これも、好き」

ゆっくり色々と服を見て回る彼女は、とても楽しそうだ。それを少し離れている彼らは少しも疲労の色を見せない。むしろ楽しんですらいる。結局、ノエル達は夜遅くまで買い物を楽しんでいた。
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