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死の外科医と四季姫

第4章 芽生えた気持ち


「島だー!!」

あの日から数日。ハートの海賊団はある島に上陸していた。

「やっと買い物ができる!」

出会ってからの二泊はローの部屋で寝泊まりしていたのだが、次の日からはイッカクの部屋で寝ていたノエル。ずっと彼女の私物を借りていたため、少しばかり心苦しかったのだ。

「気にしないでいーのに。私は同じ部屋で嬉しいから、ほんとに気にしてないのにィ」

「私も同室で嬉しいよ? けど、それとこれとは話が別だもん。今度お礼も兼ねて何かプレゼントするからね!」

「ノエルちゃん…………なんていい子なの! 早く雑魚な海賊が現れないかなぁ!」

そうなのだ。ノエルは自分のお金を未だに持っていない。お金を巻き上げようと思っていた海賊も現れず、今日の買い物は荷物持ちになってくれるペンギンもちなのだ。

「ごめんね、ペンギン。ちゃんと返すから」

「気にしないでいいよ。俺無駄遣いしてないから金には余裕あるし。ノエルちゃんのために使えるなら本望だよ」

「お兄ちゃん……!」

ふざけてノエルがそう呼ぶと、ペンギンは嬉しそうに彼女を抱き上げた。自身の右腕に座らせるような体制で、ノエルは必然的にペンギンの首に手を回す事になる。

「お兄ちゃんが何でも買ってあげよう! さっ、街に行くぞ! シャチ、荷物持て。俺はノエルちゃんを抱っこするのに忙しい」

「よっしゃ、ばっちこい!」

たったかたー、という効果音が付きそうな程軽やかな足取りで三人は街に繰り出して行った。その様子を見ていたイッカクとローは呆然としている。

「おい、あれは本当にペンギンか?」

「もうあそこまでいくと末期ですね。ノエルちゃん可愛いから、ペンギンがああなるのもわかるけど…………どうなんでしょうね」

イッカクはチラリとローを盗み見る。ローがノエルに抱いている感情は、世間一般的に恋と呼ばれるものだ。ロー以外の船員は気付いている。が、当事者達が気づいていない。

見上げたローの表情は、どこか不機嫌だった。大方ノエルをペンギンにとられた嫉妬だろう。

「船長、明日ノエルと出かけてきたらどうですか? あの子、そんなに島から出た事ないらしいですよ。楽しい思い、させてあげてください」

彼女の後押しにより、ローの明日の予定が決まった。
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