第3章 新しい日常
「おい」
しばらくの間外を眺めていた二人。唐突にローが口を開いた。
「四季島に行くか?」
「え、突然どうしたの? 四季島はもう……」
ないんだよ、そう続くだろう言葉をローは遮った。
「故郷とまともにさよならしてないだろ。それに、まだ燃えてるなら、その火を消してやるのが、最後の務めなんじゃねェのか」
その言葉にハッとさせられる。言葉こそぶっきらぼうだが、ローが優しい事をノエルはちゃんと知っている。
「うん、ありがとう」
ふわりと微笑むとローの頬が赤くなる。が、ノエルは海を見るのに夢中になっていて気付いていない。ローは彼女の純粋さに感謝した。
少しでも顔の熱を引かせようと、何かないかと必死に話題のネタを探す。
一つ、思いついたのが、四季島への行き方だ。
「四季島に行くにはどの島でログを溜めるんだ?」
「ないよ」
あまりにもあっさりと言ってのけるノエル。ローは思わず、は? と聞き返した。
「四季島へ行く手段はないよ。どの島でも四季島へのログは溜まらないし、エターナルポースもない。運の強い人とかがいると、辿り着けるんだよ」
そう説明されるが、納得がいかない。何故海軍は四季島に辿り着けたのか。ログを溜める手段がなく、エターナルポースもない。そんなグランドライン1特殊であろう島に、海軍は何故行けたのか。
ローの怪訝そうな顔を見て、ノエルはああ、と事情を察した。
「ずーっと昔にね、海軍の人だっけ、政府の人だっけ……どっちでもいいや。その人達が四季島に行く方法を編み出したんだって〜。一般人や海賊には、行く術はないって話」
「じゃあおれ達はどうやって四季島に行くんだ?」
それを聞いたノエルは、楽しそうにニヤリと笑って、私を誰だと思ってるの? とローに聞く。その答えは簡単だ。
「四季姫だよ? 四季島へ行くたった一つの方法。私が、四季島へのエターナルポースだよ」
流石のローも驚いた。ついでにシャチも驚いた。たまたま近くに来ていたペンギンまでもが驚いた。
シャチとペンギンは声を出してしまったために、その存在がばれてしまう。
「お前ら…………いつからそこに!」
「たっ、たまたま近くを通り過ぎただけです!」
「俺も!!!」
結局信じてもらえたのはペンギンだけだったとか。