第12章 ただいま
【幕間の物語】
黄色い潜水艦が海中を進む。ここは、ポーラータング号、食堂。今ここに、ほとんどの船員が集まっている。
ノエルとはぐれてから三ヶ月が経過していた。あの日付近の海や海中を探したが、ノエルは見つからなかった。
「何処にいるんだよ…………」
先程見た夢が、ただの夢だとはどうしても思えなかったのだ。
気を紛らわせようと食堂に来たのはいいが、ノエルとはぐれてから、船員達はやはりどことなく暗い表情を浮かべている。
「なァペンギン。ノエル無事だよな?」
「ノエルちゃんなら大丈夫だ。絶対、戻ってきてくれる」
すると、イッカクがあの日ノエルが残した羽を手に、ペンギンの隣へ座った。
「ノエルちゃんね、前言ってたよ。『私は絶対に、死んでも約束は守る。だから、もし私が約束したなら、それは必ず果たされる。だから、信じてね』って。
だから、私は信じる! ノエルちゃんは絶対戻ってくるし、無事!!」
その言葉を聞いた船員達の顔が明るくなった。
「今頃何処で何してるんだろうなァ……」
「そうだな、早く帰ってこないと寂しいもんな」
ベポの言葉に思わず漏れてしまったローの本音に、船員達は耳を疑った。
ローは、こんなにも自分の気持ちを素直に述べる人物ではなかった。それが、ノエルと出会って変わったのだ。
この変化を、ハートの海賊団はとても嬉しく思っている。
「会いたいよノエルちゃんんんん……」
この中で一番重症に見えるペンギンだが、本当に一番の重症者は当たり前だがローだ。
この間はホットコーヒーをかっぷに注ごうとしてテーブルにぶちまけた。
「キャプテン!! キャプテンそれ塩!! 砂糖こっち!」
今現在はコーヒーに(珍しく)砂糖を入れようとして、塩を入れかけた。
もう末期だ。
「おれも早く会いたいなァ」
「ふふ、ノエルちゃんびっくりしちゃうかもね」
イッカクの言葉に船員達はこくこくと頷く。
「ねー、ヴィルセン?」
「にゃあ」