第12章 ただいま
「いやね? それはまず四季島がバスターコールを受けたってところから始まるんだけどさ……」
と前置きし、ノエルはサボにこれまでの経緯を話した。
全て話し終わった時のサボの反応はと言うと。
「ああ、ドジか」
「そっすねー……」
サボはノエルの事をよく理解していた。
「じゃあ翼の生え変わり? が終わるまでここにいればいいよ。ドラゴンさんいないけど、ノエルは一応革命軍の保護対象の一人だし、多分大丈夫だろ」
どうして保護対象の一人になっているのだろうか。ノエルが首を傾げていると、サボが説明してくれた。
「四季島のバスターコールだよ。おれらは政府に反発してる組織だろ? だから、政府の被害に遭った人とか保護してるんだ」
なるほど、と納得したノエルは、めんどくさいとばかりにため息を吐いた。
「翼の生え変わりの時期狂うとか聞いてないよ〜!! もういっそ一気に生えて抜けてを繰り返してくんないかなァ!」
こう、バッと生えてバサッと抜けて、またバッと生えてって繰り返してさー、とノエルが言った瞬間。
カッ! とノエルの身体が白い光に包まれた。前と同じような事が起こっているが、どこか違う。
「へっ⁉︎ 嘘!!」
「まじかよ……」
ノエルの背中から翼が生え、抜ける。抜けては生え、生えては抜ける。
その光景は、まるで今ノエルが言った通りの事。
何度か繰り返しているうちに、部屋は羽でいっぱいになった。
「うっそだァ……」
呟くノエルの背には、これまでとは比べ物にならないほどの立派な羽が生えていた。
それは眩い光を放ち、空中に溶けるように消えていった。翼が消えると同時、ノエルの身体がふらついた。
「おっと……」
倒れる寸前、サボがノエルを抱きとめ、ベッドに寝かせた。
革命軍のトップ、ドラゴンがいない今、革命軍で一番偉いのはサボだ。
そのため、クンフージュゴンはノエルをサボの部屋に連れてきたのだろう。
「さて…………この羽どうするかな」
部屋の中で溢れかえった羽の一枚を手に取ると、思ったよりも柔らかく軽い。
「クッションと枕と布団だな」
とりあえず、使い道を見つけたサボはいそいそと羽を集め始めた。