第12章 ただいま
「え…………ここ何処?」
非常食や倉庫から頂いた食料や水やらで過ごしたこの一ヶ月。
乗組員達が誰もいなくなったのを見計らい、外に出たのはいいが、見知らぬ島。
それは当然なのだが、周りに何もない。商船が立ち寄る島なら、街があってもいいはずなのだ。
それなのに、街どころか人もいない。どうしたものか。
「ん?」
「…………」
気配を感じ振り向いた先に、何かよくわからない生き物がいた。目があった。
「クエーッ!!!」
「わー! 何ッ、何ッ⁉︎」
それが勢いよく叫び声をあげると、色んな所からワラワラと仲間がやってきて、あっという間にノエルを囲んだ。
「えっ、ちょっ…………やっ!」
一匹がノエルの背後に回り、後ろ手に拘束してしまった。
(これッ…………海楼石⁉︎)
海楼石を付けられたせいで、ノエルは力が出ない。あの時はオドが暴走していたおかげで、何とか外せられたのだ。
今のノエルに逆らう術がない。担ぎ上げられ、建物のような所に連れて行かれた。
「クエエエ!」
建物の中のとある部屋に入れられる。そこには、柔らかそうな金髪を揺らす男がいた。
「うおっ、どうした⁉︎」
(え……?)
聴いた事のある声にノエルは驚き、精一杯身体を動かしてその人物を見た。
「は⁉︎ ノエル⁉︎」
「サボ⁉︎」
(何でここにサボが……って事はここ、革命軍の本部⁉︎)
そうここは世界政府も知らない秘密の場所、革命軍本部、バルディゴ。
「クンフージュゴン、こいつはおれの知り合いだ。放してやってくれ」
「クー!!」
サボがそう言うと、ノエルはあっさりと解放された。
海楼石が外れた手首をさすっていると、クンフージュゴンと呼ばれた生き物に、頭を下げられた。
撫でてやると、嬉しそうにクー! と鳴いた。
「久しぶり、サボ」
にこりと笑ってそう言うと、サボもにこり笑って久しぶりだな、と返した。
実はこの二人、三年ほど前に会った事があるのだ。革命軍の任務で偉大なる航路前半の海を渡っていたサボが、謝って辿り着いたのが四季島。
そこで会って仲良くなったのがノエルだった、というわけだ。
そして現在、ノエルはサボに何故ここにいるのか聞かれている。