第10章 思わぬ人達との再会
説明を聞き終わると、なるほどな、と呟いて何かを考えだした。
「そういえば、マリアも翼がどうのこうの言っていたな」
マリア、と言うのはノエルの母の名前だ。どういうわけか、マリアとレイリーは昔からの知り合いなのだ。
「そうだ、私の家に来るといい。必要な物や金を渡そう」
「ごめんね、おじさま。とっても助かる、ありがとう!」
ノエルは、歩きだしたレイリーについて行く。
実は、シャボンディ諸島は初めてではない。幼い時に何度か来て遊んだ事がある。
あの遊園地はまだあるのだろうか。ぷかぷかと浮かぶシャボンを見つめながらそう思った。
すると不意に、レイリーが口を開いた。
「このぐらいはしてあげないとな。ノエルちゃんは私の娘のようなものだから」
そう、レイリーは答えるがノエルからしたらもう十分なほど彼からは色々と貰っている。
レイリーは、マリアが死んだ時会いに来てくれたし、強くなりたいと望んだノエルに体術も教えてくれた。
小さな時はよく遊んでくれたし、今もこうして助けてくれた。
他愛もない話をしながら歩いて行くと、やがて人通りが多いような場所に出た。
ちなみに、ノエルに恋人が出来たと知ったレイリーは、少し肩が戦慄いていた。
まるで父親のようだと思ったノエル。
「どうしておじさまは私の事よく気にかけてくれるの?」
ずっと不思議に思っていた事を尋ねると、予想外の答えが返ってきた。
「マリアは、昔私達の船に乗っていたからさ」
「え?」
ピタリ、とノエルの歩みが止まった。今、レイリーは何と言ったのだろうか。
マリアが海賊王の船員だった? となると、マリアは海賊だったという事になる。
「そんな事、お母さん一言も言ってなかった……」
「では、その話をしてあげようか」
おいで、と促され向かった先は
「シャッキーの…………ぼったくりバー⁉︎」
とても信じられないような店名の店だった。
レイリーの知り合いが運営しているのだろうか。
恐る恐る入って行くと……
「会計の10万ベリー払えって言ってるでしょうが!!」
「ヒェッ!!」
男の胸ぐらを掴んでいる女がいた。彼女がシャッキー、と言う人物だろう。
最早恐喝、カツアゲの類。思わずレイリーの方へと顔を向けると、何故か頷かれた。