第10章 思わぬ人達との再会
シャボンディ諸島付近の海上で、ノエルは首を傾げていた。
「普通ならこんなに早くないはずなんだけどなァ。どうしたんだろ、ほんと」
調べようにも、本はポーラータング号にある。
身一つで海に投げ出されたのだ。持ち物があるはずもない。
幸い、衣類はエースが買ってくれたり、おさがりをくれたのだが、お金がなければ何も出来ない。
どうしたものか。そう考えていた時、ふと思い出した。シャボンディ諸島には、レイリーおじさまがいるはず……! と。
見えてきたシャボンディ諸島に一気に近付き、上空からレイリーを探す。
が、しかし。何故か背中がいきなり軽くなった。へっ? と後ろを見ると、風に流されるように羽が抜けていくではないか。
「おっ、落ちるゥ〜〜!!!」
慌てて着地しようとするも、羽が抜け切る方が早かった。地面まで一直線に落ちていく。
挙句、真下には人が歩いていた。
「ちょっ、そこの方!! 避けるか受け止めるかしてくださいいいい!!!!」
割と無茶な事を叫びながら、ノエルは落下していく。
ノエルの悲痛な叫び声を聞いたその人物は、避ける事なくノエルを受け止めた。
ふらつく素振りも見せず、しっかりとその両腕に抱きとめた。
「あ…………」
「大丈夫か? 久しぶりだな」
その人物の顔を見た瞬間、ノエルの表情が明るくなった。
「レイリーおじさま!!」
右目の傷に、特徴的な顎髭。そして色素の薄い髪。ノエルを受け止めた彼こそが、かつて海賊王の船の副船長をしていた、シルバーズ・レイリーその人だった。
「四季島の事は聞いた。ノエルちゃんが大変な時に、駆け付けてやれなくて済まなかった」
ノエルを優しく下ろしながら、そう言うレイリーに、彼女は微笑んだ。
「ううん、気にしないで! 私、海軍に一回捕まっちゃったけど、逃げ出した先で仲間に出会えたんだ! だから、全然なんともなかったんだよ!」
そう伝えると、レイリーの目に涙が滲む。
「ならよかった…………。ん? いや待て、ならどうしてここにいる? そもそも何故空から降ってきた?」
実は、とノエルはこれまでの経緯をレイリーに説明した。