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死の外科医と四季姫

第10章 思わぬ人達との再会


ふわりふわりと浮きながら、ノエルは翼が生えた理由を考えた。

(あァそうか。答えは簡単だったんだ。何処に行きたいかの明確な願い。それに、翼は応えてくれる)

こんな簡単な事を忘れてたなんて、とノエルは苦笑する。

翼の生やし方もわかった。ならあとは傷が治るのを待つだけだと思った瞬間、翼がはらりと抜け始めた。

「え……⁉︎」

やがてバサバサと勢いよく抜けていった。割と高い所まで飛んでいたノエルは、甲板へと真っ逆さまだ。

「ヒェッ……!!」

やばい、死ぬ!! と思った瞬間、誰かに抱きとめられていた。

「へ…………あ、い、イゾウさん⁉︎」

「大丈夫か? お嬢さん」

「あ、ありがとうございます…………」

ノエルの心臓はドッドッドッ、と早鐘を打っている。

「ノエル!! 大丈夫か⁉︎」

エースやマルコ、騒ぎを聞きつけた隊長達が次々とやってくる。
エースは顔面蒼白だ。それが面白くて、ノエルは少し笑ってしまった。

「つっ、つつつつつ翼ッ! 抜けちまっだけど平気か⁉︎」

「平気だよ、今のは多分翼の生え変わりなんだと思う」

また新しく少し大きな翼が生えてくると説明すれば、安心したように脱力したエース。

「じゃあ! 抜けた羽で枕作っていいか⁉︎」

「切り替え早ッ! まァいいけど……」

何処からか袋を持ってきたエースは、いそいそと羽を集め始める。

「でも困ったな……新しく翼生えるとしたら一週間近くはかかっちゃう……」

「まァその間に怪我治るとは思えねェし、ゆっくりしてけ」

そうだぞ、とエースに同意する隊長達。
お言葉に甘えさせていただきます、とノエルは再びお辞儀をしたのだった。

「じゃあメシにしようぜ! サッチー!」

ぴゅーっと走って行くエースを見つめ、クスリと笑った。

「あれは確かに私が姉側ね」

「そうだねィ」

「⁉︎」

予想外の返事に飛び上がりそうになった。独り言のつもりだったのだが、ばっちり聞かれていたらしい。

「マルコさん聞いてたんですか⁉︎」

「ま、おれらからしたら妹だけどな」

ぽん、とマルコではない人物……イゾウに頭を撫でられた。

「イゾウさんまで……」

「ここにいる間くらいは妹扱いされておけよい」

マルコにも撫でられ、嬉しそうに笑ったのだった。
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