第1章 出会い
「止まれ!止まらなければ撃つぞ!!」
「ふぇ〜〜っ!?どちらも嫌ですぅ~っ!!」
深緑のドレスを纏った少女ーーー宝条つばさは全速力で走った。
元より、ヒールの靴は苦手。
「パンプスで良かったですぅっ!」
半泣きになりながら走る。
しかし、大の大人の男と、まだ若いとはいえ、少女の脚力では、みるみると距離を縮められていく。
ズダダダダダッ
止まらぬ銃声の中、いつ自身も撃たれるかもしれないという恐怖ーーーなんて考える余裕すらなくつばさは疲れ果てようとしていた。
もう駄目ですっ!諦めましょ!
「「!?」」
覚悟を決めて、立ち止まったつばさ。
止まれば撃たれない、という言葉にかけることを選んだ。
というより、力尽きてペタリと追い掛けてきていた男たちの方を向いて座り込んだのだ。
後どれ位で捕まってしまうのかーーー
段々と近づいてくる、自分を追いかけてきていた見覚えのある男に驚きつつも、
「嗚呼、神様、仏様、女神様っ!とりあえず何でも良いです!か弱い子羊さん…だったっけ?!あれ、山羊さんだったかな!?否否、兎に角、私をお助け下さいっ!」
手をギュッと握りしめて祈りの姿勢をとった。
ーーーそれでも、目の前の状況を把握するために、つばさは目だけは閉じなかった。
「最初から大人しく捕まってればよかったものを!」
あと数糎で届く、伸ばされた手。
「オイオイ、俺との追い掛けゴッコはもう終わりかァ??」
「っ!?」
ドゴォッ!!
追ってきていた2人の男が、つばさが今まで聴いたことのない音を立てて、側面の壁にめり込む。
そして、つばさの目の前にフワリとーーー
「あ……」
天使が舞い降りた。