第1章 出会い
待て、等という声をバックに中也は走りながらつばさに声を掛けた。
「この先に鍵のかかる部屋はあるか?」
「そこを曲って、すぐの部屋が私のお部屋で鍵もありますっ!」
「彼処だな」
素早く目当ての部屋に入り、つばさを近くにあったソファに降ろす。
「いいか。俺はあの残党共を片付けてくるからお嬢さんは此処で待っててくれ」
「はい、天使様!」
通信機が、ぷくくくっと笑う声を拾い、イラッとする中也。それを顔に出さないようにつばさに話し掛ける。
「その天使っつーの止めてくれ」
「つばさです、私の名前。天使様は?」
「……中也だ」
「分かりました、中也様」
「全部片付いたら迎えに来る。叩敲は…そうだな、5回。そうしたら鍵を開けてくれ。いいな?」
ニコッと笑うつばさの頭をポンポンと撫で、中也は部屋を飛び出していった。
中也が出ていったと同時に鍵を素早く掛けて、ソファの背もたれから見えないよう、床に降り、隠れるようにして座り込む。
段々と静かになっていく音に安堵、できるかと思ったつばさだったが、シン…となった瞬間から不安が押し寄せてきた。
「どうしましょう。中也様大丈夫かな…神様もついてるし大丈夫とは思うけれど…、ああ、怪我とかされていたらどうしましょ」
どれ位の時間がたっただろうか。1時間は経ったかもしれない。隠れていたはずなのに部屋をウロウロし始めるつばさ。
その時だった。
コン、コン、コン、コン、コン
「!」
つばさはそろり、と鍵を外した。
そこに立っていたのは勿論、中也だった。
「良かった中也様。無事だったんですね!」
「おう。……歩けそうだな」
「はっ!?」
つばさは、その言葉を聞いて、ペタリと座り込む。
「堂々と誤魔化すんじゃねェよ」
「!」
それを見た中也は、思わず小さく笑った。
その笑った顔を、姿を見て、
「あの……っ」
「?」
つばさは中也を見上げた。
先程やったお祈りのポーズを取る。
そして、
「お願い申し上げます『誰彼構わず喧嘩を始めそうな』中也様!私を貴方様の弟子にしてくださいませ!!」
「………は?」
先程と同じ様にキラキラした目で、思いを告げたーーー。