• テキストサイズ

【文スト】スケッチブック

第1章 出会い


パーティー会場の入り口に着くとメイドやボーイが宝条氏を別室へと導いた。
それを見送って執事が二人の方を向く。

「スピーチが終わるまで控え室で待機しておいて下さいませ。その後の挨拶回りに同行してほしいとのこと。食事の方は少々我慢しておいて欲しい、と伝言を預かっております」

「判りました」

太宰が返事すると一礼してその場を去る、
かと思いきや中也に近付いて「ネクタイが曲がっております」と触れてきた。

「此れで大丈夫です」

「……。」

そう告げる執事にペコッと頭を下げる。

「タイピンの宝石は気に入っていただけましたかな?」

コクッ。

「貴重な石ゆえ大事にして下さい」

コクッ。

「……それでは私はこれで失礼します」

ペコッ。
中也が首を振るのをみてから執事は退室していった。
その扉を鋭い目で睨み付ける。


「………そういうこと、か」


閉まる扉の音に重なるように、太宰は小さく呟いた。
/ 13ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp