crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】
第9章 巨人の研究
アウラは咄嗟に
ハンジを引き剥がした。
突然の事で心臓が大きく音を立てている。
引き剥がされたハンジは
顔を上げると不服そうに唇を尖らせる。
「すごく落ち着いたんだけどなあ」
「部下にすることではないと思います・・・」
アウラは五月蝿く音を立てる心臓を
沈めながらハンジに書類を渡した。
多いと思っていた書類も
いつの間にか最後の一枚となっていた。
「これで終わりですね。」
「本当に!? よっしゃー! 」
ハンジは素早くサインをすると
モブリットに手渡した。
気がつくと時計の針は23時を回っていた。
明日の訓練も早い。
早く部屋に戻って体を休めたいところだ。
「もうこんな時間か。
私はアウラを部屋まで送るよ。」
「では私は書類を提出してきます。」
モブリットは出来上がった
書類をまとめると結構な量のあるそれを
難無く持ち上げた。
「そんな。
送っていただかなくても大丈夫です。」
わざわざハンジさんに部屋まで
送ってもらうわけにはいかない。
アウラは咄嗟に
両手を振り、断りの申し出をしていた。
「こーら」
「あいたっ」
そんなアウラの額を
ハンジは軽く小突いた。
ジンジンと額が痛む。
「兵舎とはいえ、女の子の夜の一人歩きは危険だからね。
ましてやアウラは普通の兵士とは違うんだし。」
そんなに心配して頂かなくても・・・・・・
そんなアウラの胸の内を見透かすように
ハンジは続けた。
「私も宿舎に戻るし
そのついでだから気にする必要はないよ。」