crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】
第9章 巨人の研究
ハンジはアウラから瞳をそらす。
そのまま目を合わせることもなく
伏し目がちに続けた。
「巨人の捕獲っていうのは、やっぱり危険なんだ。
実際、15年以上前に成功したきり、
捕獲に成功した例はない。」
ハンジは眉間に皺を寄せる。
いつの間にか両手で
アウラの肩をしっかり掴んでいた。
「それでも私は巨人の生態について知ることは
とても大事なことだと思ってる。」
「ハンジさん・・・・・・」
ハンジの葛藤が
痛いほどアウラに伝わってくる。
ハンジは唇を噛み締めると
パッと肩から手を離した。
「諦めるわけじゃないんだ。
ただ、しっかりした方法を考えつくまで
アウラは壁外に慣れることを第一に考えてくれればいい」
目の前で笑うハンジは
いつものハンジだ。
この人のことを知れば知るほど
兵士たちが噂している変人とは
程遠い人だとわかる。
ハンジさんは他の人とは違う視点から
巨人に戦いを挑んでいるんだ。
やっぱり私はこの人の役に立ちたい。
二人で話していると
いつの間にかアウラの部屋の前に到着した。
「まだまだ話し足りない気もするけど」
おやすみ、とハンジは手を振りながら
幹部らの宿舎の方へと歩いていく。
「おやすみなさい。」
アウラはハンジの後ろ姿に
頭を下げるとハンジを見送った。
この後ろ姿を追いかけるだけじゃなくて
いつか横で支えられる人になりたい。
まずはその一歩、
初めての壁外調査まであと二週間。
アウラは身の引き締まる思いだった。