crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】
第9章 巨人の研究
「アウラ・・・・・・?」
考え込むアウラの顔を
ハンジが覗き込む。
アウラが我に返り
ハンジを見上げると、
その背後にはモブリットの姿があった。
その表情は酷く疲弊している。
「モブリットさん・・・」
「えっ、モブリット?」
ハンジが後ろを振り返ると
モブリットは手に持っていた
書類を机の上に叩きつけるかのように
強く置いた。
「分隊長・・・・・・
いい加減仕事をしてください。」
「あー・・・・・・仕事、ね」
ハンジはモブリットから視線を逸らすと
素早くトレーを手に取り
席を立とうとする。
「・・・やりかけの実験を思い出しちゃったなぁ、
というわけであとは頼ん」
その場から立ち去ろうとする
ハンジの前にすかさず
モブリットが立ちはだかる。
「分隊長、あなたのサインがなければ
終わらない書類ばかりなんですが」
モブリットはクマが深く刻まれた瞳で
ハンジを見下ろす。
その迫力にはハンジも息を飲んだ。
「それは私が行かないと駄目なやつだね・・・・・・」
「当たり前です!
ほら、行きますよ。」
モブリットに連行されるハンジを
唖然として見つめるアウラに
ハンジは声をかける。
「アウラもついてきてよ!
三人でやればきっとすぐに終わるからさ」