crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】
第9章 巨人の研究
「やあ、アウラ。
今日も絶好調だったね」
アウラのお披露目から数日、
訓練にも慣れてきたアウラに
ハンジは声をかけた。
「いえ、まだまだ学ぶことの方が多いです。」
「いやあ、殊勝な心がけだね」
いつの間にか恒例になった
訓練終わりに二人で食堂に向かう。
アウラはハンジに懐いているのに加え、
同期と呼べる存在もなく会話をするのは
主にハンジとハンジ班くらいだった。
食堂につき、
食事のトレーを受け取ると
適当な席に着く。
これも恒例となった
ハンジと一緒にとる食事は
アウラにとって心安らぐひと時だ。
一緒にいるとこんなにも落ち着くのは
ハンジが誰にでも分け隔てなく
屈託のない性格をしているからだろう。
「いつの間にか
穏やかな顔をするようになったね。」
ハンジは食事を口に運びながら
アウラを見つめる。
「そういえば、
モブリットさんにも言われました。
そんなに変わっているでしょうか?」
「変わったのかは分からないけど、
出会った頃は警戒心が強い一匹狼って感じだったのに今じゃ子犬みたいだなあって」
ハンジの言葉にアウラはハッとする。
調査兵団での生活は、
今まで身を置いてきたどの生活よりも
居心地がいいものだ。
訓練兵時代も仲間と呼べる者達もいたが
皆内地に行きたくて訓練している者が
多かった。
路地裏で生きていた頃は
何かを恨むことしかできなくて・・・・・・
その点、ここでは
明確な目的がある。
巨人の脅威から人類を救うこと。
皆その目的のために
一人一人画策しているのだ。
私はそんなハンジさんの役に立ちたい。
そう思うことで、
日々の訓練や暮らしにハリが出ているのだろう。