crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】
第8章 訓練開始
「討伐しなくていいんですか・・・?」
「壁外調査だって初めは行って帰ってこれれば一人前さ、誰だってそうだ。
手柄は焦らなくていい」
それでも不安そうなアウラの背中を
モブリットは軽く叩いた。
「ここで失敗したって俺や分隊長は見捨てたりしないよ。」
モブリットの言葉にアウラの瞳が見開かれる。
その表情は心做しか嬉しそうだ。
「訓練だし死ぬわけじゃない。
生きていれば挽回の機会はきっとやってくる。」
「そう・・・・・・ですかね」
「そうだよ。」
アウラはしばらく考え込むと
吹っ切れたように顔を上げた。
その瞳にはもう迷いの色はない。
「そう、ですよね。
まだやってみてもないのに」
しっかりと目の前を見据える
アウラの瞳に
モブリットは微笑んだ。
なぜかこの子には
世話を焼きたくなるらしい。
そうこう話しているうちに
訓練開始の合図が鳴った。
班員達は一斉に
森の中へと飛び込んでいく。
アウラも綺麗な弧を描きながら
飛び立つ。
モブリットもその後に続いた。
どうか初訓練がアウラにとって
良いものとなりますように。