crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】
第8章 訓練開始
訓練開始から数分後、
アウラの立体機動姿に
ハンジ班全員が息を飲んでいた。
分隊長だけが得意げな表情をしていたが。
「まさかこれほどとは・・・・・・」
自分が心配する必要などなかったかもしれない。
モブリットがそう思うと、
ハンジが横に駆けてくる。
「初めてリヴァイの立体機動を見た時
みたいだと思わないかい?」
「リヴァイ兵長の?」
たしかに、
アウラの的確に獲物を捉えるスピードと順応力はリヴァイ兵長に通じるところがある。
「次に何をするべきか見えているんでしょうか」
「モブリットにもそう見える!?
実は私も・・・一体何を考えながら飛んでいるのかすごく気になるよ」
ハンジは瞳をギラギラと輝かせながら
次々とハンジ班とアウラによって
なぎ倒されていく巨人の模型を見つめた。
訓練終了後、ハンジ班の成果は
今までにないほど高いものとなった。
アウラの動きに
皆が感化されたのだろう。
これは皆がアウラを認めるのに
十分足りうる理由になる。
「悔しいけど、
アウラの立体機動姿を見てたら私も!
って思っちゃった」
二ファが照れくさそうに笑うと
ケイジとアーベルも頷く。
「まあ、
実践でどうなるかなんて分からないけどな」
「その時はその時でしょ」
いつの間にか班員に
取り囲まれるアウラを
ハンジとモブリットは温かく見守っていた。
「心配していましたが、
そんなことは杞憂だったみたいです。」
「心配してたんだ、モブリット? 」
まるで興味深い物でも見るかのような
ハンジの視線にモブリットは瞳をそらした。
あとは壁外調査で生きて帰れば
アウラの入団に異を唱える者もいないだろう。