crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】
第8章 訓練開始
立体機動のスタート位置に着くと
みんなが集中する中、
モブリットがアウラの近くへ寄ってくる。
「緊張してるかい? 」
「少し・・・・・・」
「へぇ、意外だな。」
モブリットは軽く瞳を見開く。
団長にも、今朝の食堂でも
堂々とした態度を取ってきたアウラが
今更緊張しているのは意外だった。
この子のことだからケロッとした返事が
返ってくるものかと思っていたが・・・・・・
「ここで失敗すると後がないので・・・」
アウラは視線を自分の背後に向ける。
モブリットもその先を視線で追うと、
その先にある光景に納得した。
「なるほど・・・はは、人気者は辛いな。」
アウラの訓練に注目する者は
ハンジ班の班員だけではない。
訓練場にいる兵士皆が
アウラの立体機動に注目していた。
これでは緊張するのも無理もない。
どうにかして、緊張を解いてやりたい。
なんて、自分らしくもない考えだ。
だが、コロコロと表情を変える
アウラの姿に興味を掻き立てられる。
モブリットは苦笑すると
アウラを安心させることができればいいと
口を開いた。
「これでも何度も壁外を生き抜いてきた手練たちだからね。
彼らの補佐さえできれば大したもんだよ。」