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crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】

第7章 時期外れの新兵





「あの人は熱心なせいで
たまに暴走することがあって・・・・・・。
まあ、そのうちわかるよ。」



言葉を濁すモブリットに
アウラは首を傾げた。
コソコソと話す二人に気づいたのか
ハンジが二人を振り返った。



「二人とも何話してるのー?」

「いえ、自己紹介が曖昧になっていたので。」


モブリットは直ぐに顔を上げると
ハンジの元へと駆け寄った。


「えー怪しいなぁ。
アウラ、何話してたの?」


ハンジはニヤニヤとアウラを見つめてくる。
先程といい何故こうも勘繰ってくるのか。



「ハンジさんは優しくていい人だって話をしてました。」

「はあ? なにそれ」


その瞬間ハンジが動揺したのが分かった。
心無しか頬が赤く染っている。


「ハハハ・・・いい人なんかじゃ、ないよ・・・・・・」


そのまま頭を掻くと前を向いてしまった。
見慣れない姿にアウラの瞳が輝く。



「ハンジさんもしかして照れてますか?」

「てっ、照れてないよ!?」


語尾が上擦っている。
これは確実に照れている。
アウラは自然と口角が上がると
ハンジに駆け寄り顔を覗き込んだ。



「ハンジさん、絶対に照れてる」

「て、照れてないってば!」

「自分がどんな顔してるか分かってますか?」


今度はアウラがニヤニヤしながら見つめる。
ハンジの口は緩み、
嬉しさが顔から滲み出ていた。



「もーうるさいなー!
上官をからかうなんていい度胸だっ」

「わっ」


ハンジは両腕でアウラの頭を
わしゃわしゃと撫でる。


その様子を一歩下がったところで
見ていたモブリットは目を丸くした。


煤と傷だらけでボロボロだった少女が
今は分隊長の傍でこんなにも屈託のない笑顔を浮かべている。



二人は余程相性がよかったのだろう。
夜になったらこの様子を思い浮かべて
スケッチをしたい。


出来上がったスケッチを見せたら
アウラはどんな顔をするだろう。



目の前で繰り広げられる
平和な光景を見守りながら
モブリットの心の中は暖かい物で満たされていった。


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