crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】
第7章 時期外れの新兵
昨日の更衣室での出来事を言っているのだろうか。
それを乳繰りあったと言われるのは
かなり語弊がある。
唖然とするモブリットに
アウラは続けた。
「違うんです!
あれは事故というか・・・乳繰りあったのではなく一方的にされたというか・・・・・・」
「分隊長・・・・・・?」
モブリットの冷ややかな視線が
ハンジに向けられる。
その瞳は完全にハンジを責めている。
「アウラの身体は綺麗だったよ?」
ハンジは平然と笑うと
廊下へと足を進めた。
モブリットはハンジを問いつめながら、
アウラはそれを見守りながら廊下を進んだ。
助かった。
アウラは安堵の溜息を吐いた。
やり方は多少強引ではあるが、
気まずい空気になることなく場を収めてくれたハンジにまたしても感謝した。
ハンジさんには感謝してもしきれない。
モブリットは一通りハンジと話すと
歩く速度を落としてアウラと並ぶように歩くと軽
く咳払いをし、手を差し出した。
「さっきはあやふやになってしまってすまない。
改めて第四分隊副長のモブリット・バーナーだ」
「あっ、アウラ・カーリタースです」
「よろしく、アウラ。」
モブリットは爽やかな笑顔とは裏腹に
しっかりと握手をした。
だがすぐに真剣な表情になるとアウラの視線まで腰を屈めハンジに聞こえないようひそひそと話し始めた。
「分隊長に変なことをされたら
いつでも相談してくれ」
「? ハンジさんは優しくていい人じゃないですか」
「・・・・・・優しい人には違いないんだが・・・
・・・今は本当に何もされてないんだよな?」
「もちろんです!」
コクコクとうなづくアウラの姿に
モブリットは吹き出した。
とても路地裏でボロボロだった人物と
同一人物には見えない。
「わかった。信じるよ」