crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】
第6章 悪くない
開始から一分も立たぬうちに
アウラの言葉はただのハッタリでは
なかったのだと気付かされる。
「ほう・・・・・・」
次々と現れる標的を
躊躇うことなく討伐していく
アウラの姿にエルヴィンは唸った。
削ぐ深さも申し分ない。
アウラはまるでダンスでも踊っている
かのように自由自在に飛び回った。
「十分強いじゃないか。」
「まだだ。」
討伐も後半にさしかかろうという時
アウラの四方を囲むように
巨人の模型が出現した。
こんなのは普段の訓練にはない。
リヴァイがわざと仕組んだのだと
理解した時、ハンジは叫んでいた。
「リヴァイ!!」
「これくらいこなしてもらわないと困る。
お前だって、アイツには入団して欲しくないんだろ?」
ハンジは唇を噛み締めた。
アウラが入団しないことは
ハンジにとって喜ばしいことだが、
これでは確実に怪我をするだろう。
ハンジが見ていられなくなった時、
粉々に粉砕された木屑当然となった巨人模型の腕がハンジの視界に入った。