crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】
第5章 身の振り方
「アウラ、私は認めてないからね。」
立体機動訓練所傍の更衣室で
ハンジは新たにもらってきた支給品の下着を
アウラに手渡しながら言い放った。
「どうしてですか?」
「どうしても何も、わざわざ死にに行くことは無い。」
「ハンジさん達は死にに行ってるんですか?」
アウラはカーテン越しに
ハンジが言葉に詰まっているのを感じた。
ズボンを脱ぐと下着を身につける。
ズボンを履き直すと
上の下着も身につけるため
シャツのボタンに手をかけた。
「っ、そんなわけないだろう!?」
今の言葉はハンジの心を逆撫でてしまったらしい。
ハンジは初めて声を荒げた。
「我々はたとえ小さな一歩だとしても、
それが人類のわずかな前進になるのならと公に心臓を捧げている。」
それでもアウラだってここで引き下がるわけにはいかなかった。
「私だって、父さんたちの仇を取りたい。
そのための行動が
結果として人類のためになるのなら」
「昨日まで全てを放棄していたじゃないか。
今更だよ」
「なんでそんなこと言うんですか!?
ハンジさんのお陰で変われそうなのに!」
売り言葉に買い言葉。
二人の言い合いは終わりそうにない。
「っ、君がこんなに強情だと思わなかった。」
「私だって、ハンジさんがこんなに
意地悪な人だと思いませんでした!」
「なっ、誰の為を思ってると思って・・・っ!」
勢いでハンジはアウラとハンジを隔てているカーテンを掴んでしまう。
そのまま前方に倒れ込んだ。