crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】
第5章 身の振り方
「入団するのはいいとしてお前は飛べるのか」
飛べる、
というのは立体機動の事だろう。
アウラはこれでも訓練兵の中では上位に位置していた。
「すぐに死ぬようならいらねぇ」
瞳の奥を覗き込んでくる三白眼を
アウラも見つめ返した。
流石人類最強と言われる兵士なだけはあり、あまりの迫力に押し返されそうになるが踏ん張る。
「飛べます・・・・・・!」
「なら、見せてもらおう。
いいか、俺が力不足だと感じたらお前には開拓地に行ってもらう。」
「ちょっと、リヴァイ!」
ハンジはリヴァイを制するが
それをアウラが制した。
「大丈夫です。私、飛べますから」
微笑むアウラに
ハンジの眉間の皺がさらに深く刻まれる。
リヴァイに認められるとはよっぽどの事だ。
何度も彼と死地を乗り越えてきたからこそハンジにはそれが並大抵ではないと痛いほど分かる。
飛べるだけでは駄目なのだ。
アウラはリヴァイのことを知っていたから、
リヴァイの強さだってしているはずだ。
なのにこの自信は一体どこから?
しかし、これがただの無鉄砲ならいい。
そうすればこの子は開拓地へと送られて
少なくとも命の危険はなく生きられるだろう。
開拓地に嫌な思い出があるというのなら
以前とは違う開拓地に送ればいい。
ハンジはアウラが安全な開拓地に
送られることを心から祈った。