crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】
第4章 優しい人
「巨人・・・・・・」
「そうだよ。アウラはシガンシナ区の出身だね。
巨人を見たことがあるだろう?」
そうだ。1年前のあの日、壁が破壊された。
アウラはシガンシナでも
内地寄りに住んでいたため直ぐに避難できたのだ。
たくさんの巨人こそ目の当たりにしなかったが
壁から顔を出した超大型巨人のことは
今でも鮮明に思い出せる。
「壁から顔を覗くくらい大きな巨人が・・・・・・」
「そうだね。奴らこそが人類の仇だ。
君のお父さんとお母さんのね。」
ハンジはそれからアウラに
巨人と人類の歴史や壁の外について沢山話してくれた。
訓練兵団にいたアウラにとって
巨人の歴史はよく知ったものだったが
ハンジが話す壁外の情景はとても興味をそそった。
座学では壁外の美しい景色の話など
誰もしてくれなかった。
どこまでも続く空と大地。
自由に飛び回る鳥や獣たち。
「壁の外には広大な大地が広がっているんだ。
狭い壁の中にいたら想像出来ないかもしれないけどね」
「ハンジ達はその景色を見てるんだね。
・・・・・・いいなぁ」
私も見てみたい。とティーカップに口を付ける。
先程よりも穏やかな表情になったアウラに
ハンジは頬を緩ませた。
「私も壁の外に出てみたいな」
「いつか出られるよ、きっと」
「いつかじゃなくて今出たいのに。
私も調査兵団に、」
「駄目だ。」
調査兵団に、入りたい。
アウラがそれを言う前に
ハンジはその言葉を制した。