crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】
第4章 優しい人
「ごめん。辛かったね。」
包み込んだ身体からは
嗚咽が漏れる。
「っ、みんな・・・嫌い・・・・・・!」
「うん」
ハンジは宥めるように
アウラの背中を摩った。
「あんな作戦を提案した兵団も、
受け入れた王もみんな嫌い・・・・・・っ
なんで、お父さんとお母さんが死ななくちゃいけなかったの!?」
「そうだね・・・、ごめん。」
ハンジも
沢山の民間人を投入したあの作戦に参加していた。
そして
目の前で次々とたくさんの人間が
巨人に食われていく所を目の当たりにした。
この作戦でアウラのように両親を失った
子供はたくさんいるだろう。
彼女はきっと、氷山のほんの一角に過ぎない。
物思いにふけっていると胸が叩かれる。
「なんでハンジが謝るのっ」
「私も、あの作戦に参加していた。」
アウラは顔を上げると泣き腫らした瞳で
ハンジを見つめる。
その痛々しい姿に胸が傷んだ。
「私の、我々兵団の力不足で君の両親を死なせてしまった。あの時、次々と巨人に食われていく民間人を我々は救いきることが出来なかった。
謝ってどうにかなるとは思わない。
でも、本当にごめん。」
しっかりと瞳を見つめるハンジに
アウラの顔が歪んだ。
「なんで・・・助けてくれなかったの・・・・・・」
そんなこと、アウラにも分かっているだろう。
それでも問わずにいられなかったその言葉に
ハンジはどうすることも出来なかった。
「アウラ、こんなことを言ってもどうにもならないかもしれないけど私たちが憎むべきは巨人だ。」