crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】
第4章 優しい人
「君のこと好きになる兵士が沢山出ちゃうよ」
冗談ぽく笑うと
ハンジはアウラに紅茶の入った
ティーカップを手渡す。
紅茶などいつぶりだろう。
アウラは懐かしさから
視界がぼやける。
瞳いっぱいに涙を溜めたアウラに気づくと
ハンジは背後に回ってタオルを持ち、
頭をわしゃわしゃと拭いた。
「乾かさないと風邪ひいちゃうね。」
アウラは涙を拭った。
顔が見えなくて助かった。
この人は、そこまで考えているのだろうか。
「君、名前は?」
「アウラ・カーリタース・・・・・・」
「アウラか、いい名前だね」
優しい声色に再び目じりが熱くなる。
自身の身分を隠す為にも
名乗ることは得策ではなかった。
しかし、
両親を失ったあの日から
こんなにも優しくしてくれた人はいなかった。
ハンジの優しさが
雪解けのようにアウラの心を溶かしていく。
「なぜ街であんなことを?」