• テキストサイズ

【進撃の巨人】〜こぼれ話集〜 短編

第1章 あの頃



「おい芋女...まさか明日行かないなんて言い出すんじゃねぇだろうな?」

ジャンの探るような言葉に、見事にサシャが固まる。

「あの日のエレンの親父さんを知る、たった一人の人間だ!大事なことが分かるかもしれねぇんだぞ...」

「そっそれは分かってますよ!でも!...でも教官に会う、のはっ!」

「あのなぁ...」

ジャンは、頑なにキースとの面会を拒むサシャに、飽き飽きしている様子だ。彼女にとって訓練兵時代のことは相当なダメージだったのだろう。

「いいか?超大型が襲来したあの日、エレンの親父さんが何をしていたか、それが分かるかもしれねぇんだぞ!お前の勝手な都合でどうこうできる話じゃねぇ!」

「うぅ...イヤや!えじぃーがな!おていまたおごられるがな!はらがいて、じきこずかれちまうが!」

「いや、何言ってっか全然わかんねぇよ...」

初日に頭突きを食らわされただけでなく、あの後5時間走らされたのだ。いや、夕食抜きとも言われた時の方が悲痛な顔をしていたが。

「サシャ...仕方ないよ。でも、もう3ヶ月も経ってるんだ。教官も今更厳しくしたりするはずないさ!」

アルミンが優しくフォローに入るが、ちらりと顔を上げただけでまた駄々をこね始める。

「つぁーらん!また腹かくのいやや!なしおうのいかん?しとねぇ!!」

「サシャ...」

「...取り敢えず、俺エルヴィン団長たちに報告に行ってくる」

エレンがここは任せたとばかりに立ち上がり、椅子をしまう。ジャンが恨めしそうな顔でエレンを睨んだが、ため息を吐いてなんだかんだ全員が、サシャの説得に励むのだった。


/ 23ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp