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【進撃の巨人】〜こぼれ話集〜 短編

第1章 あの頃



「明日の予定や集合を他の奴らにも伝える。エレン、あいつらは今どこか知ってるか?」

「リヴァイ班でしたら...おそらく食堂にいると思います」

エレンはふと、サシャの説得に困窮していた同期たちを思い出した。なんとかなったのだろうか...アルミンあたりが、上手く言いくるめてくれればいいのだけれど。

そんなことを思案しながら、エレンは再びリヴァイと共に食堂へ向かった。


食堂の引き戸をガラリと開くと、夜も遅い時間帯だがまだ賑わいが残っていた。兵士の数は先程より少なくなっているが、ジョッキ片手に話し合っている者や、ウォールマリア奪還作戦への意気込みを意気揚々と語る者などが、まだ見受けられる。
そんな彼らは突然のリヴァイの登場に驚き、そして食堂の空気が自然と締まった。

幹部たちは普段、食堂で食事を取ることが少ない。業務に追われていることもあり、自身の執務室で食事をするのだ。そのため、食堂では珍しいリヴァイの姿にその場の兵士全員が緊張したのである。
そんな兵士たちに、エレンは改めて調査兵団におけるリヴァイの地位の高さを認識した。それもそのはずである。戦闘力の高さは人類一であり、団長からの信頼も厚く、頭も切れる。正確に少々難ありだが、本当は部下想いの人だということもエレンは知っていた。

見るからに固まっている兵士たちにリヴァイも気づき、表情を変えずにこう言う。
「お前ら、明日が調整日だからってはしゃぎすぎだ。寝ろ」

「...了解っ!!」

兵士たちは、寝ろという司令に無駄に気合の入った返事をして素早く食堂を出て行った。


アルミンたちはエレンとリヴァイが一緒に来たことから、リヴァイ班へなにか司令があるのかと察し、食堂を去らずに起立して待っていた。
そんな彼らにリヴァイは近づいていく。

「明日の件はエレンから聞いているようだな」

「はい」

全員が声を揃えて返事をする。そんな中、一人だけ暗い顔をしているサシャをエレンは横目で盗み見た。あの様子だと、説得に屈服したのだろう。

「訓練兵団本部はここから少し馬で走ったところだ。朝食を食べ終えたらすぐに馬を連れて門の前へ集合しろ。いいな」

「了解!」

「それと...おい、サシャ」


リヴァイがおもむろにサシャに目を向け、声を掛けた。



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