怖いのは苦手です【ONE PIECE】ドフラミンゴ夢
第1章 Drop down
(side:ドフラミンゴ)
その日、珍しく陸で食事をしていたドフラミンゴは、退屈な毎日に少々飽きが来ていた。
仕事は順調であるし、特に大きな騒ぎもない。
海賊同士の諍いが無いわけではないが、わざわざ自分で出向くほどのことでもない。
やる事がないわけではないが、急ぎ片付けるモノは今はなかった。
束の間の休暇をとっても良いが、別段、行きたい場所もやりたい事もすぐには思いつかない。
ここのところ忙しくしていたこともあってか、突然の空いた時間を持て余している。こんな時は特に世界の色が薄くなるように感じた。
目の前に広がる食事も酒も特に申し分ないが、どこか物足りなさを感じているし、ドフラミンゴが望めば殆どの女達は従順に、時に喜んで股を開く。
まさに退屈の底で暇を持て余し、新しい刺激を求めていた。
心が本気で震えるような出来事が起きるのを望んでいた。
だからだろうか…
「ん?」
不意に上からの不思議な気配に顔を上げた。
それは一瞬の出来事。
「どうかしましたか?」と、部下が窺うように見上げてくるのに応えるでもなく、空に意識を集中させる。糸を出すでもなく、気付いた他の者を手で制し様子を伺ってみる。敵意は感じなかった。
ドサッ!!!
凄い勢いで降ってきたそれはドフラミンゴの上に着地した。
「若っっっ!!」
「ドフィ!?」
切り捨てるでもなく受け止めた謎の飛来物に部下たちの心配と驚きの声が響く。その声を聞きながら、ドフラミンゴは自分の上に落ちてきたものを見つめた。
気まぐれに軽く抱き留めたそれは、事もあろうか一人の少女だった。