怖いのは苦手です【ONE PIECE】ドフラミンゴ夢
第2章 Who are you?
怒涛の展開には頭がついていかない。
お金も地位も権力も力も、ハイあげるなんて簡単に渡せるものじゃないはずだ。一体、この男は何者なのだ。
恐怖から身体の熱も涙も、一気に引いていく。引きすぎたのか、水でもかぶったような冷たい気持ちが襲ってくる。
「い、いらない…です」
ニヤリと様子を伺うようにしていた男の動きがピタリと止まった。
合わせて薄ら笑いも消える。
(えっ…な、何か変なこと言った?)
冷汗が出てきた。
思わず目をそらそうとしたが、顎を上げるように持たれ視線を逸らすことが出来ない。
彼はもう一度、確かめるように顔を近づける。
サングラス越しに笑っていない目がぼんやりと見えた。
「この俺がくれてやると言っているんだぞ…」
「そ、そんなこと、言ったって……」
冷たい目で疑うように見下ろしてくる男。
ただでさえ迫力のある外見だ。こんな、ぶつかってしまいそうな距離で凄みを出されては、に出来る事など縮こまることくらいしかない。
しかし、なにか言えとばかりの視線と手が目をそらすことも許してくれないので、パクパクと数回口を開けたり閉じたりしたのち、は意を決して素直に聞いてみることにした。
要は無言の圧力に耐えきれなかったのだが。
別に首を絞められている訳では無いので苦しいはずはないのだが、緊張の為か少し呼吸が苦しい。身体に声に力を込めるため、の顎にかけられた彼の手、その手首を掴んでしっかりと男に目を合わせる。
どこかに力を入れて踏ん張らなければ声も出ない程の恐怖に立ち向かう。
そうしなければ何もわからないのだから。
「……あ、貴方は誰…何者なんですか? そんな、いきなりあげると言われても、知らない人から何かをもらうことなんて出来ません!」
勢いを付けて言わなくては言えないからと、一気に口にする。
固まったまま動かない男。
怒った、というわけではなさそうだが、何も反応がないのではどうしていいのか分からない。
適当にでも何か欲しいものを伝えた方が良かったのだろうか?
いや、タダより高いものは無いのだ。