第19章 もう1つ厄介な事がある
恥ずかしくて逃げるように帰ってきてしまった
陣平があんなふうに甘えてくるのは珍しいかったから、ちょっとでも元気になればいいかなって
陣平にされたら嬉しい事をしてみたけど、自分の心臓もドキドキしていて、向いてないなと心底思った
思い出して照れてしまって、ボーッとしていたんだろう
見慣れない所まで歩いてきてしまっていた
「あれ?ここどこだろう…」
暗くなってきたし急いで帰らなきゃ…
廃ビルが立ち並んでいて少し不気味だった
来た道を戻ろうと振り返ると目を凝らさないと見えないけど、数人の男達が荷物を運びこんでいた
物陰に隠れて明らかに怪しい人達を観察する
ここからじゃ見えない…
でも、近づくのは怖い…
「おい、落とすなよ
爆発しちまったらどうするんだ」
あの中の男の誰かが叫んだ
爆発…?
急いで携帯を取り出し陣平に電話をかける
大体の場所と爆弾があるかもしれないと伝える
すぐその場から離れろと言われたので物音を立てないようにソッと離れようとした
恐怖で足がすくんだ
逃げなきゃ…早く…ここから…
無我夢中で走った
後ろを振り返ったら帽子を目深に被った人がいて
見たんだな、生かしちゃおけねぇと追いかけてきた
陣平、早く来て、助けて
捕まってしまい、口を手で塞がれて大人しくしろと言われた