第17章 残していく方もキツイぞ
なんとか家までたどり着いて、抱えていたちゃんをソファーにおろす
「ちゃん、起きて」
「ん…」
サラっと彼女の顔に髪がかかっているのを耳にかけた
今日のちゃんは笑っていたけど辛そうだった
無理しちゃって、陣平ちゃんと付き合うようになってからあんまり泣かなくなった
よく泣いちゃう子だったのに
いや、違うかも…
俺らの前で泣かなくなった
きっと1人の時に泣いてるんだと思う
もう少しわがまま言ってもいいと思うけどな
昔の陣平ちゃんならめんどくせぇってボヤいてたけど、ちゃんならちゃんと受け止めてあげれるはず
起きそうもない彼女を自室に運んで寝かせた
これくらいならきっと怒られることはないだろう
翌朝、いつもと変わらず俺の分の弁当と陣平ちゃんの分と預かって登庁する
「昨日は悪かったな…は?怒ってたか?」
「ぜーんぜん、怒ってくれた方がいいのに我慢しちゃって逆に可哀想」
「だよな…」
今度の非番は絶対に甘やかすと言っていた
やっと陣平ちゃんがちゃんの休みの日と合わせて非番をもぎ取ったのに、休日出勤だと言って出かけてしまう
「ごめんね、急いで会議の資料作らないと行けなくて…陣平はゆっくりしててね」
「はいはい、っだよ…とデートしようと思ってたのに」
「ほんと、ごめん、いってきます」
そういうことが何回か続いた
「、浮気でもしてんのかな?」
「はぁ?」
ちゃんに限ってそんなことあるわけないだろ
信じてやれよ
ちゃんがまた休日出勤と出かけた日、陣平ちゃんは張り込みしてくると後を追いかけた
おいおい、一歩間違えばそれ、ストーカーだから
刑事が何やってんだよ
陣平ちゃんたちはその晩帰ってこなかった