第17章 残していく方もキツイぞ
たまたま入ったカフェで松田とちゃんを見かけて話しかけた
すっかりカップルになっちゃって、羨ましいなぁ、まったく…
松田は不機嫌そうだったけど、ちゃんが誘ってくれたので遠慮なく相席させてもらおうと座ったら、松田の携帯が鳴った
あぁ、これはもしかして…
携帯に表示されているのを見て舌打ちをしている
ものすごく不機嫌そうに電話に出た
手短に電話をすませて申し訳なさそうにちゃんに謝っている
「仕方ないよ、お仕事だもん
気をつけてね、お巡りさん」
とびきりの笑顔で松田を見送る
「本当にごめん、埋め合わせは必ずするから
諸伏、の事頼めねぇか?」
「いいよ、ちゃんと送り届ける」
「悪いな…」
笑顔で手を振って、松田の姿が見えなくなったらちゃんの手がゆっくり止まり力なくテーブルの上にパタっと置かれた
俺にも経験がある
急な呼び出し、その時付き合っていた子を置いていけないといけない状況
あの子もこんな風に俺を見送ったあと、寂しそうにしてたのかな…
いや、文句を散々言われたっけ
ちゃんは凄いと思う
寂しいとか不満とか一切見せなかった
松田は幸せ者だな
溜め込んじゃわないかちょっと心配になった
「ここのケーキ美味しいんだって、食べてみない?」
「ほんと?じゃ食べていこうかな」
落ち込んでいたのは一瞬ですぐにいつものちゃんの笑顔を見せてくれた
ケーキを美味しそうに頬張る
食べ終わって紅茶に口を付けようとした時、いきなり固まってしまった
「どうしたの?」
「夕食予約してたの忘れてた…」
「キャンセル料かかっちゃう?」
「今日までの割引券があってそれ使いたかったな…ヒロさん、この後時間あったりします?」
「今日はオフだからむしろヒマ」
「鉄板焼きなんだけど一緒にいかない?」
松田、怒らないかなぁ…
でも、割引券は今日まで…もったいないお化けが出そうだな
「さすがに2人きりは松田が激怒しそうだから萩原か安室でも呼ぶ?」
「陣平が激怒?」
ちゃんはわかってないなぁ…松田が嫉妬深いって事