第13章 おやすみ
唇に柔らかいものがあたる
うっすら目を開けるとヒロさんがいる
目を細めて私を見ている視線にドキリとする
角度を変えて何度も唇を重ねる
ヒロさんの肩を押し返すけど手を取られて後頭部に手を回されて動けない
「ぅ…ヒロさん…」
「ごめん、ちゃんが可愛くて抑えきれなかった…」
頭を撫でていたかと思うとギュッ抱きしめられて反射的にヒロさんを押し返す
ヒロさんはビクともしなくて…
「俺とキスするの嫌?」
嫌っていうか…心がザワザワする
陣平のあのセリフがグルグル回ってる
"もう俺以外の男に触らせるな"
なんで、そんなこと…
陣平だって、私の他にいるじゃない…
「俺はもっとしたい」
「や、ヒロさん…ちょっと待って…」
力がいっぱい押しているけどヒロさんは離れてくれない
ピタリと止まったヒロさんを見ると私の後を見ていてた
振り返ると陣平がいる
陣平はゆっくりとこちらに近づいてくる
怒られると思って体を硬直させてしまう
ヒロさんの抱きしめる腕は力が込められていた
「を離せよ」
「なんで?てか、久しぶりに会ったのにそれだけかよ」
私を挟んで会話するのはやめて欲しい
「いいから、離せ
嫌がってただろ」
ようやくヒロさんの腕から解放された
「、帰るぞ」
腕を持たれて家へと歩き出す
「陣平、待って…
ヒロさん、今日はごちそうさまでした」
バイバイと手を振るヒロさん
陣平はずっと黙ってる
鍵を開けて中に入ると靴を脱ぐ間もなく
ドアと陣平の間に挟まれていた
「陣平…どいてよ…」
「嫌だ」
なんで泣きそうな顔をしてるんだろう
顔が近づいてきて唇が触れそうな距離
力いっぱい陣平の胸板を押す
ヒロさんと一緒で全然ビクともしない
「諸伏となにしてた?」
「陣平には、関係ない…」
我ながら可愛くない言い方だと思う
「そうかよ…」
グイッと腕を引かれて陣平のベットに乱暴に放り投げられた
「いたっ…なにす…んむぅ」
顎を掴まれて無理矢理舌が入り込んでくるキス
また乱暴に服を脱がされる
つい最近まで優しい陣平だったのに、なんでこんなことするの…
陣平にはあんなに綺麗な彼女がいるじゃない…
やめてと抵抗もせずに流れ出てくる涙をそのまま黙って流していた