第13章 おやすみ
夜中に目が覚めた
お茶でも飲もうとリビングに行くと研ちゃんがソロっと玄関から出ていく所だった
「シーっ、陣平ちゃん寝てるからね
着替え取りに来ただけだから、俺もう行くから
おやすみ」
小声でそう言うからコクコクと頷きリビングへ行ってみると陣平がソファーで眠っていた
研ちゃんにも言われたし疲れてるんだろうとそのまま寝かせてあげるつもりがブランケットをかけたことで起こしてしまう
今日の陣平はわからないことだらけだ
何故私と出かけたがるのか
ヒロさんの事をそんなに気にするのか
わかるまで考えるんだな、なんて意味深な発言
ほんとにわからないから困っていると
一緒に寝るぞと寝室連れてこられた
腕枕をされてギューっと抱きしめられて
こんな状況で寝れるわけがない
よっぽど疲れていたんだろう、陣平はあっという間に眠っていた
陣平の思惑なのかそれから数日は陣平のことばかり考えてしまって仕事にも身が入らない
陣平は優しくなった
前みたいに無理矢理体の関係を持とうとはしないし、でも思い出したかのようにキスをして抱きしめてくる
それが嫌じゃない自分もいて、本当に困っている
気分転換に公園のベンチでランチを食べることにした
サンドイッチを買ってみたもののポアロのハムサンドが恋しくなってしまって、一口で食べるのを辞めた
「ちゃん」
後ろからガバッと抱きつかれて驚いて振り返ってみればヒロさんがニコニコしている
「ヒロさん、あーびっくりした…」
驚かせてごめんねとクスクス笑いながら隣に腰掛ける
「仕事中?なにか悩み事?ココにシワ…」
眉間を人差し指で撫でられる
「あ…そんなに酷い顔してた?」
「難しい顔してた、かわいい顔が台無しだよ」
ヒロさんは甘い言葉をいつも言う
映画を見た日もそうだった…
「遊びに行こうよって誘いたい所だけど、仕事中だよね、残念だなぁ、せっかく会えたのに」
「あ、休憩終わっちゃう!じゃぁ、私行くね」
立ち上がってカバンを掴んで目線をあげる
その先には陣平がいた