第6章 今度俺も連れてってよ
ちゃんにお願いしてポアロに連れていってもらった
うわぁ、本当に降谷だ
エプロンなんてしちゃって、ヤバいウケる…
一瞬固まっていたけどすぐに愛想を振りまかれた
テーブル席はいっぱいだったのでカウンターにちゃんと腰を下ろした
「今日、松田はいらしてないんですか?」
「事件らしくて忙しいみたいです」
「ふっ……」
吹き出しそうになると絶対零度の視線でギロリと睨まれた
俺の存在を無視するかのように2人で盛り上がっている降谷とちゃん
騙されちゃダメだぞと心の中で叱咤する
本来ちゃんは人懐っこい性格で誰とでも仲良くなってしまう
降谷は警察学校時代、一時期誰も寄せ付けないオーラを放っていたけど諸伏のおかげで俺達共馴染んだ
今はそのオーラは微塵も感じさせない
丸くなったのかな…
いや、この安室透って男を演じきっているんだろう
全く恐ろしい男だ…
ちゃんもすっかり懐いちゃってる
あーぁ、陣平ちゃんが見たらまた怒るぞ
「そろそろ帰ろっか、陣平帰ってきちゃう」
「だな、またな安室さん」
「さんまた来てくださいね」
と、彼女の頭を撫でながら彼女だけに言う
「俺は?!」
「気が向いたらどうぞ」
こいつ、マジでふざけてやがる…
クスクス笑うちゃんの背中を押しポアロを出ると不機嫌な顔をした陣平ちゃんが立っていた
ズンズンと進んできて、見送りに出てきた降谷からちゃんを隠すように間に立つ
「気安く触んな」とやっぱりご立腹
これで自覚がないのは陣平ちゃんちょっと変だと親友の俺は思う
「おやおや、彼女は松田の所有物ではないでしょう」
おいおい、降谷さん
後で宥めんの大変なんだから陣平ちゃんを怒らせないでくれ
サングラス越しでもわかるくらい降谷に殺気を放っている
ちゃんの手を取り強引に車に押し込める
「萩原は乗っていかねぇのか?」
このまま陣平ちゃんとちゃんを二人っきりしたら、きっとちゃんは地獄を見そうだったから彼女の為に一緒に乗って帰る事にする
車内ではピリピリした空気が流れていてちゃんは陣平ちゃんがなんで怒っているか全く検討がついていないらしい
重症だな、この2人…
なんだか馬鹿らしく思えてきた