第8章 誠凛vs秀徳
焦った様に黄瀬をどつく笠松
それが可笑しくてさやは
くすくすと笑った
黄瀬は、驚いたように目を見開き
さやを見つめた
「…さやっちなんか変わったっすね」
「そうかしら?」
「いいっすね昔に戻ったみたいっす!」
黄瀬はにかっと笑いさやの頭をくしゃりと撫でた
昔…か…
さやは少し複雑な気持ちで
頭を撫でる黄瀬を見つめ
黄瀬は愛おしそうに
さやを見ていた
*
誠凛メンバーと笠松と
お好み焼き屋の前で別れ
さやは黄瀬に最寄りの駅まで送ってもらう事になった
2人で暗い夜道を歩く
黄瀬は終始楽しそうな笑顔でさやの手を握っていた
「って感じでいつも笠松先輩に
しばかれるんっすよー」
「へぇ…涼太が楽しそうで
私も嬉しいわ」
「どこが楽しそうなんすか!
さやっちが海常にいたら楽しいっすけどね!」
「そうね
私も涼太がいたら楽しいと思うわ」
私は、たくさんのキラキラしたものに会って
…変わってしまったのかもしれない
黄瀬と歩きながらさやは
過去の事を思い出していた。
*
いつ頃だっただろうか
女子の中でバスケをするのが、つまらなくなったのは。
大して楽しんでやっていた訳じゃなかった
でも、強い相手とやるのは
高揚したし
女子チームの中でも皆と笑ってバスケをしていた気がする
週末になれば練習後にストリートに通い
たまに来る大輝と本気でバスケして
賭けて、アイス奢って貰ったりして
部活を頑張っていれば
先生からも評判がよくなるし
親も悪くは言わなかった
十分利があったし
少し楽しくもあった
シュッ ----------
『おおー!紅林今日30点目!』
『さすが"女帝"紅林!プレーがあざやか!』