第13章 試合と青峰大輝
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私はどうしたらいい?
テツヤを苦しめ
大輝を苦しめ
皆を苦しめて
でも、誰一人かけて欲しくないと
気付いてしまったの
優しくて
いつでも包み込んでくれる敦
敦がいないと
私はあの悪夢から救われない
明るくてヤキモチやきの涼太
一緒にいると楽しくて
私だけを特別扱いしてくれる
ロマンチストで臆病な真太郎
私がいないと
彼のシュートが外れてしまいそうで
傍にいてあげなきゃと思うの
翔一もそう
最近付き合い始めたばかりだけど
貴方の笑う顔が好きだと気づいた
そして ---------
1番付き合いが長い大輝
いつだって私を大切にしてくれる
貴方が勝ってくれるから
私は1人じゃないと思える
今更何を変えればいいの
"女帝紅林"の呪縛も
灰崎の呪いも
私は何も乗り越えてないのに
いつも顰めている眉を緩やかに解いて
安心しきって眠る青峰の髪を
ゆっくりと撫でる
ビクッとなって少し身動ぎをする
うっすら目を開けて
さやがいる事を確認すると
またゆっくりと目を閉じた
ほっとしてサラサラの髪を撫でる
今は顔を見られたくない
きっと大輝を困らせてしまうから
そうだ
敦に電話しよう
きっとそれで気が紛れる
「どこ行くんだよ」
髪から離した手を絡ませるようにとられる
驚いて振り向くと
さっきまで眠っていたはずの青峰が
体を起こしさやの目をしっかりと見つめていた
「…なんて顔してんだよ」
「なん、でもない…」
青峰の瞳の強い青が
揺れるさやの不安気な目を
捕らえて離さない