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リンゴ

第8章 誠凛vs秀徳







ザーザーと雨が降っている


さやは傘もささず
雨にうたれながら歩いていた。


なにがそんなに悲しいのかわからなかった


緑間の悔しさが伝わったのかもしれないし


自分の信じていたものが

崩れ始めたのが、怖かったのかもしれない



(キセキの世代…
彼らなら私を倒せると思っていた

それだけ大我が強いって事かもしれないけど

あんなっ…ぽっと出の奴にっ…!)



自分の気持ちがぐらぐらと揺れている

何が何だかわからず


とめどなく涙が溢れた



「さやっ!
バカっ!お前なにしてんだ!」


「か、さまつさん…」



バシャバシャと水を弾きながら
傘をもった笠松がさやに駆け寄った。



見られたくない

泣いているところなんか


"女帝"紅林は ----- 泣かない 。





**




笠松side




「なんで…来たんですか…」



さやは苦しそうに痛みを耐えるように、笑った。

雨に全身濡れて、体なんか震えて…
それでも泣き顔を見せないように



ひでぇ笑い方だ

こんなの笑ってる内に入るかよ…

だから黄瀬はさやを追わなかったんだな


こんなきっつい顔させねぇように



「…風邪、ひくぞ」


「…大丈夫です
涼太のとこ、戻ってください…」



俯くさや

どんどん雨粒は大きくなり
艶やかな髪を中まで濡らしていく


こっちまでキツくなってるような顔して


こんな状態のお前を放って帰れって?




「そんな事…出来る訳ねぇだろ」



笠松は傘をほおり投げさやを抱き締めた。

雨が笠松の肩を濡らす



「っやめて、ください…
敦…敦じゃ、なきゃ…」


「もう黙れ…
誰の前だって、泣いていいんだよ」


「そんな、…そんな簡単には…っ…」


「泣けよ
全部吐き出しちまえ
辛いってしんどいって…言っていいんだぜお前も」


「かさ、まつさっ…っっ…!」





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